コンピュータシステム(6)
ソフトウェア
ファイル管理
ファイルシステムの種類と特徴
ファイルシステム
ハードディスクなどの記憶媒体内でのファイルを管理する仕組み。ファイルやディレクトリを作成する方法や記憶媒体のボリュームの最大容量などを決めてしまう
OSによって、サポートされているファイルシステムが異なるため、使用するOSに合ったファイルシステムであらかじめボリュームをフォーマットする必要がある
名称 | アクセス可能なOS | ボリュームの最大容量 |
---|---|---|
FAT | MS-DOS/Windows 9x/Me/NT/2000/XP/Server 2003 | ドライブサイズ:最大4GB ファイルサイズ:最大2GB |
FAT32 | Windows 9x/Me/2000/XP/Server 2003 | ドライブサイズ:最大2TB ファイルサイズ:最大4GB |
NTFS | Windows NT/2000/XP/7/8/Server 2003/2008/2012 | ドライブサイズ:2TB以上(実装256TB) ファイルサイズ:最大16TB |
HFS | Mac OS | ドライブサイズ:最大2TB ファイルサイズ:最大2GB |
ボリューム(パーティション)
記憶媒体の論理的な区画のこと。物理ディスクを複数に区切ったときのひとつの領域を指す
アクセス手法とファイル構成
ファイルは「レコード」で構成され、コンピュータはレコード単位で処理をする
アクセス手法
アクセス手法:レコードを読み書きする方法
名称 | 説明 |
---|---|
順次アクセス (シーケンシャルアクセス) | ファイルの先頭からレコードにアクセスする方法 |
直接アクセス (ランダムアクセス) | ファイル内のレコードの順番に関係なく、任意のレコードに直接アクセスする方法 |
動的アクセス | 順次アクセスと直接アクセスを組み合わせた方法。任意のレコードに直接アクセスしたあと、それ以降は順番にレコードにアクセスする |
物理レコード
コンピュータで複数のレコードをまとめたもの
論理レコード
物理レコード内での処理の単位
ファイル編成
ファイル内にどのような手順・構造でレコードを格納するかを決めたもの
汎用コンピュータで使用
順編成
●ファイルの先頭から順番にレコードを格納するファイル編成
●記憶装置を効率よく使用できる
●ファイル内の途中にレコードを追加不可
●順次アクセスのみ使用可

索引順編成
●ファイルを「索引域」「基本データ域」「あふれ域」で編成
●索引域からレコードの格納位置を調べ、直接データ域のレコードにアクセス
●検索処理は高速
●レコードの削除・追加はアクセス効率、使用効率が低下
(解消のためファイルの再編成が必要)
●直接アクセス、動的アクセスが可能

名称 | 説明 |
---|---|
索引域 | レコードの格納位置が索引として記憶された領域 |
基本データ域 | レコードが記憶される領域。レコードはキー値順に記憶されている |
あふれ域 | 基本データ域に入りきらなかったレコードを記録する領域 |
直接編成
●レコードのキー値からアドレスを求めるファイル編成
●ファイル内の任意の場所にレコードを書き込む
●レコードの削除・追加が用意
●直接アクセスのみ使用可
◆直接アドレス指定方式
レコードのキー値をそのままレコードのアドレスとして使用する
キー値にばらつきが多い場合、ファイルの記憶領域が無駄に使われる
◆間接アドレス指定方式
レコードのキー値を一定の規則をもとに計算してアドレスを求める方法
計算はハッシュ関数で行われる
大量のデータ処理に向いている
※シノニム:別のレコードが同じ格納アドレスとなる場合
ホームレコード:最初に格納したレコード
シノニムレコード:格納できなかったレコード
区分編成
●順編成と索引順編成を組み合わせたファイル編成
●「ディレクトリ域」「メンバ域」で構成
●メンバの先頭へは直接アクセス、メンバ内では順次アクセス
●メンバの内部は、順編成で構成されているので、格納効率がよい
●区分編成はバージョン管理が容易なのでプログラムを格納するライブラリとして使用

名称 | 説明 |
---|---|
ディレクトリ域 (登録簿域) | メンバの名前やアドレスなどの情報が登録された領域 直接編成になっている |
メンバ域 | レコードが記録されている領域。順編成になっているのでディレクトリ域からメンバ域にアクセス後はメンバ内で順次アクセスが行われる |
メンバ
ファイルを分割した単位
VSAM(ブイサム)編成
●仮想記憶上で利用される
●上記の順編成、直接編成、索引順編成を仮想化した編成方法
●ファイルのことを「データセット」と呼ぶ
名称 | 説明 |
---|---|
入力順データセット | レコードが入力順に記憶される |
キー順データセット | 索引用とデータ用の記憶領域から編成される |
相対レコードデータセット | レコードのアドレス使用でレコードに直接アクセス可 |
ディレクトリ管理
コンピュータの記憶メディア(ハードディスクなどファイルシステム)のファイルを整理・管理するための、階層構造(ツリー構造)を持つグループ名
ルート(ルートディレクトリ)
すべてのディレクトリを含んだ最上位の階層のこと
サブディレクトリ
あるディレクトリの下(内)にあるディレクトリのこと
カレントディレクトリ
現在アクセスしているでぃれくとりのこと
◆パス:任意のディレクトリを指定するための記述
指定方法 | 説明 |
---|---|
相対パス | 現在のディクトリ(カレントディレクトリ)から見た目的のファイルの位置を指定する方法 |
絶対パス | ルートディレクトリから目的のファイルまですべてのディクレトリ名ファイル名を階層順に指定する方法と |
相対パス・絶対パス

□の中:絶対パスの表記 □の外:相対パスの表記
※システムによって / は \ 表記になることがある
パスの表記 | 意 味 |
---|---|
. | カレントディレクトリ |
.. | 1つ上の階層 |
¥or/ | ディレクトリの区切り。システムによって他の記号を使うこともある |
ファイル共有
ネットウェークを構築していると、ネットワーク上でコンピュータのファイルを複数のユーザで共有して利用が可能。ネットワーク上でディレクトリやファイルを共有する場合は「アクセス権」を設定し、ユーザごとに書き込み、閲覧を制限できる
バックアップ
バックアップは、システムの誤操作や障害などによってファイルが破損されるような事態に備え、ファイルの複製を別途保存する作業
・定期的にバックアップを行う ・業務処理の終了時など、日常業務に支障のないスケジュールにする ・バックアップ用の媒体はバックアップに要する時間や費用を考慮し、バック アップするデータがすべて格納できる媒体を選択する ・バックアップファイルは、ファイルの消失などを回避するために、通常、正副 2つを作成し別々の場所に保管する |
バックアップ対策ファイル
利用者が作成した大切なファイルや環境設定を格納したファイルなどがバックアップの対象。通常、OSやアプリケーションソフトはバックアップの対象にはしない
バックアップの種類




世代管理
過去のバックアップデータを何世代分か保管しておくこと。バックアップデータはデータを普及する時に必要となるが、データを誤って書き換えてしまった場合、古いデータが必要となることがあるため、世代管理を行っておくと役立つことがある
バックアップの方法
別のドライブやバックアップ用の記憶媒体にバックアップする
方 法 | 説 明 |
---|---|
ファイルやフォルダをコピー | ファイルやフォルダ単位でバックアップをとる |
バックアップツールを利用 | 専用のアプリケーションソフトウェアを使用し、バックアップをとる |
バックアップの記憶媒体
バックアップ対象のファイルの容量や用途に応じて、記憶媒体を選択する
ハードディスク、MO、CD-R、CE-RW、DVD-R、DVD-RW、DATなどが利用される
DATを利用したバックアップ
「DAT」は磁気テープの一つ。ハードディスク全体のバックアップを取るのに適している。ファイル単位ではなく、ディスク単位でバックアップをとる
OSS
ソフトウェアのソースコードを無償で公開し、改良や再配布が誰に対しても許可されているソフトウェアのこと
OSSの特徴
1.自由な再頒布の許可 2.ソースコードの頒布の許可 3.派生ソフトの頒布の許可 4.作成者のソースコードの完全性 5.個人やグループに対して差別をしない 6.利用分野の差別をしない 7.再頒布時に追加ライセンスを必要としない 8.特定ソフトウェアに依存しない 9.同じ媒体で頒布される他のソフトウェアを制限しない 10.特定の技術やインタフェースに依存しない |
OSSの種類と特徴
UNIX系OS
System V(システムファイブ)系
オリジナルUNIXを基にしたOS。商用UNIXとして汎用コンピュターに搭載されていることが多い
名称 | 説明 |
---|---|
SunOS | サン・マイクロシステム社が開発したUNIX互換OS。バージョン5以降「Solaris(ソラリス)」と改称 |
HP-UX | HP社が開発したUNIX互換OS |
AIX | IBM社が開発した互換OS |
UnixWare | System Vのライセンスを取得したノベル社から配布されたUNIX互換OS。PC/AT互換機で動作する。バージョン8以降「Open UNIX」と改称 |
IRIX | シリコングラフィック社が開発したUNIX互換OS |
BSD系
カリフォルニア大学バークレー校が開発したUNIX系OSを基にしたOS
名称 | 説明 |
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NetBSD | 4.4BSDをもとに開発されたUNIX互換のOS。移植性が高く、PC/AT互換機やゲーム機などの様々なプラットフォームで開発する |
FreeBSD | 386BSDと4.4BSDを基に開発されたUNIX互換性OS |
OpenBSD | NetBSDを基に開発されたUNIX互換OS。他のUNIX系OSに比べセキュリティが高い |
Linux系
UNIX互換として1から作成されたOS
通常、カーネルとアプリケーションソフトウェアなどを組み合わせた「ディストリビューション」という形態で配布する
LAMP・LAPP
データベース連動型のWebアプリケーションを開発するのに人気の高いオープンソースソフトの組合せのこと
LAMP | LAPP | |
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OS | Linux | Linux |
Webサーバソフトウェア | Apache(アパッチ) | Apache(アパッチ) |
データベース管理システム | MySQL | PostrgerSQL |
プログラミング言語(スクリプト言語) | PHP or Perl | PHP or Perl |
ライセンスの種類と特徴
OSS無保証が原則だが、ソフトウェアの発展のために一定の条件での利用、改変、再配付が可能
OSSのライセンスは、二次著作時のライセンスの適用などの違いによって、色々な週類がある
名称 | 説明 |
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GPL | 著作物、二次著作物のソースコードを公開することが条件 GUN(UNIX互換ソフトウェア群の開発プロジェクト)で採用 |
BSDL | 再配付の際に著作権表示を行うことが条件 Apacheライセンス |
MPL | 著作物のソースコードを公開することが条件(二次著作物はMPLが適用された部分のみ) Firefox、ThunderbirdなどのMozilla Foudation社のソフトウェアで採用 |
OSSの利用・活用と考慮点
●低コストで利用できるが、利用時の安全性に考慮する
●ライセンスについて考慮する
 

