基本情報技術者試験
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経営戦略(1)

経営戦略マネジメント

経営戦略手法


企業を取り巻くあらゆる変化に対応し、他社より優位に立って企業が成長するために、長期的な視点で示す構想のこと

全社戦略

複数の事業を展開する企業が、事業ごとに策定される戦略とは別に、会社的な観点から経営の方向性を示したもの

全社戦略の種類
名称説明
CS経営顧客の視点で自社の企業価値を創造し、顧客満足度(CS)の向上を第一に企業経営を行う
コアコンピタンス経営自社の強み(コンピタンス)を事業の中核(コア)に位置付け、経営資源を集中させる
多角化経営既存事業とは関係のない事業分野にも進出し、企業の安定的成長を図る
グループ経営独立した複数の企業が一体となって、経営の効率化、市場シェアの拡大を目指す
コアコンピタンス

他社が真似できない核(コア)となる技術や資本力などの能力(コンピタンス)のこと。自社にとっては強みであり、他社とは差別化した経営資源となる

全社戦略の手法
アウトソーシング

自社が必要とする経営資源を外部企業から調達する形態のこと

アライアンス

企業間での連携・提携のこと

M&A(合併・買収)

自社にない技術やノウハウを獲得することにより、新規事業の展開を短期間で実現可能。投資リスクを抑えたり、無駄な競争を省いたりできることがメリット

持株会社による統合

常にグループ全体の利益を念頭においた経営戦略が可能になり、意思決定のスピード化を図れることがメリット
●持株会社
  他の株式会社の株式を大量に保有し、支配することを目的とした会社

資本参加

相手先企業との連携を深めるために、企業の株式を取得し、その株主となること。資本的には協力関係になるが、経営に関する決定権は持っていない

提携

企業間で協力して事業活動をすること

アライアンス形態
合併・買収・持ち株会社の違い

事業戦略

事業戦略の種類
名称説明
コストリーダシップ戦略競合他社に対してコスト面で優位に立つための戦略
差別化戦略製品やサービスに独自の価値を追加することで、競合他社との差別化を図る戦略
集中戦略特定の顧客層や地域、流通チャンネル等に経営資源を集中する戦略
事業戦略の手法
プロダクトポートフォリオマネジメント(PPM)

企業が扱う事業や製品を、市場独占率と市場成長率を軸に取るグラフにプロットし、「花形」「金のなる木」「問題児」「負け犬」に分類する経営分析の手法。4つの分類に経営資源を配分することで、効果的・効率的で最適な事業や製品の組合せを分析

名称内容
花形黒字だが、投資が必要
市場を維持するには資金がかかるが、収益率が高く、成長・成熟
金のなる木少ない投資で黒字を生み出す
市場独占率が大きいので投資がかからず、収益率がよい。過剰な投資は抑える
問題児赤字だが追加投資をすることで将来的には成長が見込まれる
成長率(大)で市場(小)なので投資が多い
負け犬将来的が低く、基本的に撤退すべき。投資の流出・資金の流入のどちらも(低)
投資以上の収益が見込めなければ撤退や縮小を行うべき
PPM
競争地位別戦略

業界内の企業の地位に着目し、どの地位に分類されるかによって最適な戦略をとること
●リーダ:市場シェアが最大である企業
●チャレンジャ:シェアの増大を図り、トップシェアの獲得を目標とする企業
●フォロワ:シェアを維持しつつ、新たな顧客の創出を目標とする企業
●ニッチ:競合他社の参入していない隙間市場でのシェア獲得を目標とする企業

SWOT分析

強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)を分析し、評価すること
マーケティング計画や危機管理方針などを決定するときにも活用され、経営戦略を分析する際の代表的な分析手法

強み・弱み:企業の内部環境分析
 (人材、営業力、商品力、販売力、技術力、ブランド、競争力、財務体質などが含まれる)
機会・脅威:企業を取り巻く外部環境分析
 (政治、経済、社会情勢、法律、市場性、価格の変化、顧客動向、競合他社などが含まれる)
機会脅威
強み自社の強みを生かした社会的な機会は何か社会的な脅威を、自社の強みによって克服できるか
弱み自社の弱みによって失いそうな社会的な機会は何か自社の弱みによって顕著化の危険がある社会的な脅威は何か
バリューチェーン分析

企業活動をいったん個別の価値活動に分解し、それぞれの付加価値とコストを把握して、各活動が最終的な価値にどのように貢献しているか、その関係と構造を明らかにすることで、競争優位の源泉(あるいはその可能性)を探るというもの

成長マトリックス分析

自社の製品やサービスと市場の関係性をマトリックスで分析し、企業の成長戦略の方向性を導き出す手法

成長マトリックス
バリューチェーン

製品やサービスを顧客に提供するという企業活動を、調達/開発/製造/販売/サービスといったそれぞれの業務が、一連の流れの中で順次、価値とコストを付加・蓄積していくものととらえ、この連鎖的活動によって顧客に向けた最終的な“価値”が生み出されるとする考え方

プロダクトライフサイクル(PLC)

製品が発売されて市場に出現してから、販売終了となり市場から消失するまでのサイクルのこと

導入期

製品を市場に投入する時期
製品の認知度UPのための告知活動、販売促進活動を行うため、利益はほとんどない

●成長期

他社製品との差別化や製品のバージョンアップを検討する時期
導入期の投資により、製品の認知度が上がり売上のピークを迎える。競合製品が増加、消費者からの要望も増える

●成熟期

戦略の変更を検討する時期
製品が市場にあふれ、消費者の需要が鈍化。売上、利益ともに伸長しない

販売シェアの高い製品:シェア維持のための戦略(製品原価50の低下に伴う
値下げ)などを検討
販売シェアの低い製品:ニッチ戦略(隙間市場での収益性の確保)などを検討
●衰退期

市場からの撤退を含め今後の進退を検討する時期
消費者の需要が価格によって左右され始め、値引き競争が激化する。売上、利益ともに下降傾向。コストの掻けずに市場を維持していくか、現製品の価格を維持しながら後続製品に切り替えるために再投資を行うかなどを検討

PLC

マーケティング


顧客のニーズを的確に反映した製品を製造し、販売するしくみを作る活動のこと

マーケティング戦略の策定

マーケティング分析

マーケティングの実施にあたり、自社の製品やサービスと市場の関係性について分析を行うこと

種類説明
3C分析自社(Comapanny)、競合他社(Competitor)、顧客(Customer)の3Cを分析し、CSFを見つけ出す
市場調査市場に関する様々な情報を収集・分析する
「質問法」「観察法」「実験法」等
セグメンテーション顧客ニーズや顧客層ごとに市場を分類する
ターゲティング自社がターゲットとする市場を絞り込む
ポジショニングターゲットの市場に対して、自社の価値をどのように訴求すべきかを考える
サンプリングターゲットの市場の性質を調べるために、一部を抽出し統計調査を行う
マーケティングミックス

市場におけるマーケティングの目的を達成するために用いるマーケティングツールの組合せのこと。販売側の視点から考える「4つのP」、顧客側の視点から考える「4つのC」がある

4つのP検討する内容4つのC
Product(製品)品質やラインナップ、デザインCustomor Value(顧客にとっての価値)
Price(価格)価格や割引率などCost(価格)
Place(流通)店舗立地条件や販売経路、輸送などConvenience(利便性)
Promotion
(プロモーション)
宣伝や広告、マーケティングなどVommunication(伝達)
CS(顧客満足度)

製品やサービスを利用した顧客が、利用して良かったと思う満足度のこと

マーケティング手法

マスマーケティング

対象を特定せず、画一化された方法を用いて行うマーケティング戦略、マーケティング活動のこと

ニッチマーケティング

市場全体ではなく特定の小さな市場に焦点を当てたマーケティングのこと

ワントゥワンマーケティング

個別の顧客ニーズに対して最もふさわしいマーケティングを行い、顧客満足度や販売効率の向上を目指す手法のこと。インターネットやCTI技術により、多数の顧客に対しても容易に実現可能となってきた

リレーションシップマーケティング

既存顧客との良好な関係(リレーションシップ)を維持することで、長期的かつ持続的な購買を確保しようとするマーケティング手法

顧客ロイヤルティ

製品やサービスに対する顧客の信用度の愛着度のこと

インセンティブ

奨励金や景品、ポイントなど、特定の行動を促すための動機づけとなる刺激策のこと

ダイレクトマーケティング

企業がDMや電話、Eメールなどを使い、顧客と直接かつ持続的にコミュニケーションを図ることにより、販促効果を高めるというもの

市場テスト

新商品の本格的な市場導入に先立ち、地域や期間を限定して試験的に実市場で販売やプロモーションを行い、その反応を調査・検証するマーケティング活動のこと

ビジネス戦略と目標・評価


ビジネス戦略の策定及び実現にあたっては、明確な目標設定、目標の達成状況の持続的評価、必要な改善が重要

目標の設定・評価

戦略目標の設定→CSFの特定→評価

CSFの特定

CSFの分析を行うことが重要

CSF(重要成功要因)

経営目標を達成するための重要な成功要因のこと。マネジメントシステムにおいてCSFは、戦略/戦術レベル、会社/部門/個人と段階・レベルをおって策定され、最終的にはより具体的・定量的なKGI(重要目標達成指標)、KPI(重要業績評価指標)にまで落とし込まれる

CSF分析

CSFとは重要成功要因(Critical Success Factor)で、「競争優位を確立するためには、何が出来れば良いか」を明確にしたもの

KGI(重要目標達成指標)

何をもって成果とするかを定量的に定めたもの
業務プロセスにおける目標(ゴール)と、それが達成されたが否かを評価するための評価基準
その中間的数値指標としてKPI(重要業績評価指標)と対で利用されることが多い

KPI(重要業績評価指標)

KGI達成に向かってプロセスが適切に実施されているかどうかを中間的に計測する

評価

継続的なモニタリングを通じて評価を行う

目標設定および評価のための手法

目標設定のための手法

明確な目標を設定するためにはビジネス環境分析を行う

ニーズ・ウォンツ分析

ニーズとは必要に迫られて買うこと、ウォンツはどうしても欲しいと思って買うこと。顧客の持つニーズをウォンツに高めるために行う分析のこと

競合分析

3C分析。競合他社の分析を行うこと。ターゲット顧客、製品やサービス(機能、価格、販売経路、プロモーションなど)、リーダーシップスタイル、経営資源(資金力、従業員数、設備など)、マーケティング戦略などの分析を行う

評価のための手法
バランススコアカード(BSC)

企業の目標と戦略を明確にすることで、数値上で表される業績だけでなく、さまざまな視点から経営を評価し、バランスのとれた業績の評価を行う手法。ビジネス戦略の立案、実行、管理手法として利用
具体的なBSCの導入には「戦略マップ」と「スコアカード」を作成する

戦略マップ

コミュニケーションツール戦略を可視化することで、現場への戦略の浸透をスムーズにする

スコアカード

戦略の実行を管理し、確実にPDCAを行えるようにする

4つの視点
視点内容
財務株主や従業員など利害関係者の期待に応えるため、企業業績として財務的に成功するためにどのように行動すべきかの指標を設定する
顧客企業のビジョンを達成するために、顧客に対してどのように行動すべきかの指標を設定する
業務プロセス財務的目標の達成や顧客満足度を向上させるために、優れた業務プロセスを構築するための指標を設定する
学習と成長企業のビジョンを達成するために組織や個人として、どのように変化(改善)し、能力向上を図るかの指標を設定する
バリューエンジニアリング(VE)

商品やサービスの価値を、機能とコストの関係で表し、価値を向上させること
価値(Value)=機能(Function)/コスト(Cost)

シックスシグマ

ビジネスプロセスにおいてバラツキを極めて小さくする経営・品質管理の手法。エラーや欠陥を100万の3〜4以下の確率に抑えることをいう。σ(シグマ)は、標準偏差のことで、平均からのバラツキを示す。6σが100万回に3、4件のエラーが起こる確率を表している

TQM

経営層の主導により実施される全社的な品質改善への取り組みのこと。経営の考え方のひとつで、シックスシグマなどの手法を用いて実施する

経営管理システム


効率的な経営管理を実現するためには、経営管理に見合ったシステムを作る必要がある

ERP(企業資源計画)

企業内のあらゆる経営資源を有効活用するため統合的に管理し、最適に配分すること

SFA(営業支援システム)

パソコンやインターネットなどの情報通信技術を駆使して企業の営業部門を効率化すること。また、そのための情報システムのこと。顧客との商談履歴を管理、顧客情報や営業テクニックを共有化して営業活動の効率化、標準化を図る

CRM(顧客関係管理)

情報システムを応用して企業が顧客と長期的な関係を築く手法のこと。詳細な顧客データベースを基に、商品の売買から保守サービス、問い合わせやクレームへの対応など、個々の顧客とのすべてのやり取りを一貫して管理することにより実現する。顧客のニーズにきめ細かく対応することで、顧客の利便性と満足度を高め、顧客を常連客として囲い込んで収益率の拡大化を目的としている。一般的にはCTIシステムや電子商取引などを利用

CTI

電話やFAXとコンピュータを連携させた利用技術のこと電話やFAXに対して自動応答をしたり、発信者に応じて適切な着信者に振り分けたりする

SCM(供給連鎖管理、サプライチェーンマネジメント)

主に製造業や流通業において、原材料や部品の調達から製造、流通、販売という、生産から最終需要(消費)にいたる商品供給の流れを「供給の鎖」(サプライチェーン)ととらえ、それに参加する部門・企業の間で情報を相互に共有・管理することで、ビジネスプロセスの全体最適を目指す戦略的な経営手法、もしくはそのための情報システムをいう

ナレッジマネジメント(KM、知識管理)

個人の持つ知識や情報を、組織全体で共有し、有効に活用することで業績を上げようという経営手法のためのシステム。情報を蓄積・共有する仕組みとして、データベースやグループウェアなどを利用

バリューチェーンマネジメント(価値連鎖管理)

消費者のニーズに応えることを目的とした流通全体の最適化を図る手法のこと。調達→開発→製造→販売→サービスなどの流れの中で、それぞれの業務担当者が一体となって付加価値を供給する。業務を機能ごとに分類し、どの分野で付加価値が生み出されているか、競合他社と比較してどの部分に強み・弱みがあるかを分析、ビジネス戦略の有効性や改善の方向を探っていく

 

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