基本情報技術者試験
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基礎理論(2)

基礎理論

応用数学


収集したデータを分析し、数学的な知識を他の分野に適用することを目的とした数学

確率的手法

収集したデータがどの程度正確かを判断するために使用

場合の数

ある事象(出来事)が起こる可能性の総数のこと

基本の法則
名 称説 明法 則
和の法則2つの事象A、Bが同時に起こらないことを前提とした場合、
事象Aの起こる場合がm通り、事象Bが起こる場合がn通りのときに、
事象A、Bが起こる場合の数の総数
m+n通り
積の法則2つの事象A、Bが同時に起こることを前提とした場合、
事象Aの起こる場合がm通り、事象Bが起こる場合がn通りのときに、
事象A、Bが起こる場合の数の総数
m×n通り
順列

あるデータの集まりの中から任意の個数を取り出して並べる方法の総数のこと

異なるn個から任意にr個取り出して、1列に並べた順列の数を nPr と表した場合
nPr=n×(n−1)×(n−2)×-----×(n−r+1)
組合せ

あるデータの集まりの中から任意の個数を取り出す方法の総数のこと

異なるn個から任意にr個取り出す組合せの数を nCr と表した場合
nCr=nPr/r!=n!/(n-r)!r!
確率

すべての事象の数に対する、ある事象の起こりうる数の割合

事象Aが起こる確率
すべての事象の数がn通りで事象Aがそのうちr通り起こる確率P(A)は
P(A)=r/n
事象Aが起こらない確率
事象Aが起こる確率P(A)とした場合、事象Aが起こらない確率P(A)は
P(A)=1−P(A)
確率の基本定理
確率の基本定理
名 称説 明
加法定理・2つの事象A、Bが排反でない場合、事象AまたはBが起こる確率
    P(AまたはB)=P(A)+P(B)−P(AかつB)
・2つの事象A、Bが排反である場合、事象AまたはBが起こる確率
    P(AまたはB)=P(A)+P(B)
乗法定理・2つの事象A、Bが独立である場合、事象AかつBが同時に起こる確率
    P(AかつB)=P(A)×P(B)
・事象Aが起こったという条件下で事象Bが起こる確率(条件付き確率)
    P(B|A)=P(AかつB)/P(A)

排反:2つの事象A、Bが決して同時に起こらないこと
独立:2つの事象A、Bが関係なく、同時に起こったり起こらなかったりすること

マルコフ課程

ある事象が起こる確率が過去の状態に関係なく、現在の状態だけに影響を受ける場合の課程のこと。「ひとつ前の状態にのみ依存する条件付き確率」
特にひとつの状態だけの影響を受ける場合を「単純マルコフ課程」という

≪情報処理試験でよく出る問題≫
表は、ある地方の天気の移り変わりを示したものである。例えば、晴れの翌日の天気は、40%の確率で晴れ、40%の確率で曇り、20%の確率で雨であることを表している。天気の移り変わりが単純マルコフ課程であると考えたとき、雨の2日後が晴れである確率は何%であるか。

 雨→晴れ→晴れ 0.3×0.4=0.12
 雨→曇り→晴れ 0.5×0.3=0.15
 雨→雨→晴れ  0.2×0.3=0.06
 雨の2日後が晴れとなる確率は、これらの和
 ゆえに 0.12+0.15+0.06=0.33

確率分布
正規分布グラフ

事象が起こる確率が変数によって決まる場合、変数と各事象が起こる確率との関係のこと
この変数を「確率変数」という

正規分布

データの分析状態をグラフで表したときに、グラフの形が「正規曲線」になる分布のこと
【特徴】
平均を中心とした左右対称のつりがね型
平均±SD、±2SD、±3SDの確率がそれぞれ68.2%、95.4%、99.7%

ポアソン分布

一定時間内にごくまれに起こる事象の確率分布のこと
「起こる確率が小さい」事柄が「n回起こる確率」を、横軸に回数n、縦軸にn回起きる確率でグラフにした分布

指数分布

一定時間内に起こる事象の時間間隔分布
ポアソン分布グラフ 指数分布グラフ

統計

収集したデータの規則性を調べたり、予測したりするための手法

データの代表値

データ全体の特徴をひとつの数値で表現するもの

説明
平均値全体の合計をデータ数で割った値のこと。一般的に"平均値"と呼んでいるものは、"算術平均"のこと
メジアン(中央値)データを昇順、または降順に並べたときに中央に位置する値のこと。データが偶数の場合、中央に位置する2つの値の平均を使う
モード(最頻値)データの出現度数の最も高い値のこと
代表値の一般形式
代表値の形式

平均の式
モード(最頻値):出現回数の一番多い値
メジアン(中央値):上から数えても、下から数えても真ん中の値
データの散布度

個々のデータが平均値を中心に周囲の値がどのようにばらついているかの度合いを示す数値を表現する。同じ平均値を持つデータの集まりでも上のグラフのように特徴が異なる場合がある。この違い(変量がどのように散らばっているか)を表現する数値。各変量の平均からの隔たりが大きいか小さいかを調べる「分散」「標準偏差」変量の分布の幅、散らばり具合の幅が大きいか、小さいかを示す「レンジ」がある

説明計算式
分散標本が標本平均からどれだけ散らばっているか([個々のデータの値]−平均)を2乗した値の平均
標準偏差統計値や確率変数の散らばり具合(ばらつき)を表す数値分散の平方根を取ったもの
レンジ(範囲)変動・影響などの範囲。分布幅を示す数値データの最大値と最小値の差

分散の式
標準偏差の式
レンジ=最大値−最小値
散布図

2つの属性値を縦軸と横軸にとって、2種類のデータ間の相関関係を表したもの 散布図 

回帰分析
回帰分析

散布図を応用したもので2種類のデータ間に相関関係があるときに、その関係を直線で表す手法のこと。
2種類のデータをx、yとした場合、回帰直線はy=ax+b (a:傾き、b:切片)の式で表すことができる。
回帰直線は、最小2乗法で直線を求める。

最小2乗法

各点と回帰直線からの差の2乗を合計したものが、最小になるような直線を求めること

ヒストグラム

ヒストグラム

集計したデータの範囲をいくつかの区間に分け、区間に入るデータの数を棒グラフで表したもの。データの全体像、中心の位置、ばらつきの大きさなどを確認できる。

推定

データ数が多く、すべてのデータを調査することが困難な場合、いくつかのデータを取り出して調査を行う。すべてのデータ「母集団」、いくつかのデータを「標本」という
推定」とは、このデータ数の少ない標本から、できるだけ精度の高い平均値を求め、母集団の傾向を判断するときに使われる統計手法。標本の平均値から母集団の平均値(母平均)を推測し、母集団の統計学的な性質を推測する

数値計算

対数

乗算や除算を加算や減算で行うことが出来る数値計算方法のひとつ。対数を使用することで計算を簡略化できるというメリットがある

対数の定義  対数の説明

対数の性質

対数の性質

数式処理

数値の代わりに文字列を使って一般的な数を表現する「代数」を利用することで、計算式を記号的に処理すること

名称説明
因数分解計算式を分解し、いくつかの計算式の積の形を変換すること
微分時間経過にともなって変化する関数の増減を調べる
積分図形の面積や立体の体積などを微小な要素の集まりとして計算すること
微分で行った操作の反対を行うと微分になる

数値解析

正確な解を求めることが出来ない数学上の問題を近似的に手法のこと。数値解析で求める近似的な解のことを「解の近似値」という
実際の現象をコンピュータ上でシュミレーションするために利用される

二分法

方程式の解を含む区間の中間点を求める方法

補間法

補間:複数の点を通る多項式の曲線で、あるxの値に対するyの値を計算すること

ラグランジュ補間法

異なる複数の点を通る多項式を求め、離散的なデータから値を推測する方法

ニュートン法

微分を利用して解の近似値を求める方法

数値解析による誤差
数値解析で発生する誤差
名称説明
絶対誤差近似値から真値を引いて得られる誤差
相対誤差近似値に含まれる誤差の割合で、絶対誤差を真値で除算して得られる誤差
打切り誤差浮動小数点数の計算処理の計算順序などの指定した規則によって発生する誤差
丸め誤差浮動小数点数で最下位桁より小さい部分で発生する誤差

グラフ理論

ある要素を関連付けて整理したり、分析したりするために、要素間のつながりをグラフとして分析する手法
点と辺で構成され、点と点のつながり方を表す。ひとつの点についている辺の数を「次数」という

有向グラフ

辺の向きを考えたグラフ
辺に矢印を付けて表現
   入次数:点に入ってくる辺の数
   出次数:点から出ていく辺の数

無向グラフ

辺の向きを考えないグラフ

有向・無向グラフ

グラフの性質
グラフの次数の合計は偶数になる
グラフは基数の次数を持つ点が偶数個ある

待ち行列理論

顧客がサービスを受けるために行列に並ぶような確率的に挙動するシステムの混雑現象を、数理モデルを用いて解析することを目的とした理論
電話交換機、情報ネットワーク、生産システム、空港や病院などの設計や性能評価に応用される
性能評価指標としては、待ち行列長・待ち時間・スループットなどが用いられる
■M/M/1モデル■
ケンドールの記法で待ち行列のモデル
以下の3つの条件が成り立っている状態
サービス要求の到着間隔がランダム(ポアソン分布)
窓口を使用する時間は要求ごとにランダム(指数分布)
待ち行列のサービス窓口は1個
※約束事:行列へ割り込む、列の途中で抜け出すことは考えない。サービス要求は到着順に受け付ける

MMI

平均到着率(λ)

単位時間あたりに到着する人(モノ)の数のこと
到着間隔:ある人(モノ)が到着してから次の人(モノ)が到着するまでの時間間隔のこと

平均到着率=λ
平均到着間隔(TA)=1/λ
平均サービス率(μ)

一つの窓口でどれだけサービスを処理できるかの割合のこと
サービス時間:並んでいる人(モノ)を処理する時間

平均サービス率=μ
平均サービス時間(TS)=1/μ
平均利用率(ρ)

窓口がどれだけ利用されているかということ

平均利用率(ρ)=平均利用率(λ)×平均サービス時間(TS)
      =平均利用率(λ)/平均サービス率(μ)
平均待ち時間(TW)

サービスを受けるまでの待ち時間のこと
到着間隔:ある人(モノ)が到着してから次の人(モノ)が到着するまでの時間間隔のこと

TW:平均待ち時間
TS:平均サービス時間
ρ/(1−ρ)×TS
平均応答時間(T)

平均待ち時間と平均サービス時間を足した時間

T=TW+TS
待ち行列(L)

窓口に待っている人(モノ)の数

L=ρ/(1−ρ)

 

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