基本情報技術者試験
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システム戦略(2)

システム企画

システム化計画

システム化構想

企業などで業務をシステム化しようとする際に、どの業務からシステム化するか、どのくらいの期間でシステム化を進めるか、ということを計画すること。システム企画では、経営戦略をどのようにシステムに反映して経営上、優位に立てるようにするかというシステム化構想を、システム化基本方針としてまとめる

システム化構想の構成
  ●システム化の目的と期待される効果(目標)を明確にする
  ●システム化の対象となる業務を選定する
  ●システム化の推進体制を決定する
  ●目標とする情報システムの全体像を描く
  ●情報システムへの投資目標を策定する
  ●システム化について経営陣による承認を得る

システム化計画

要件定義


IT全体計画からの要求、利用部門からの要求などを分析して、開発する情報システムが持つべき機能を示すこと。このプロセスは、主に発注者の任務となる。要件定義は、システム開発の最初のプロセスです。これが不適切だと、開発した情報システムも不適切なものになる。要件定義が不適切なことが、後のプロセスで発見されると、手戻りが発生して、費用や納期に大きな影響を与える
要求定義:利用者がシステムに要求する事項の内容を明確にすること
要件定義:システム構築にあたって、システムにどの機能を取り込むかを
     明確にすること
厳密には、要求定義→要求分析→要件定義というプロセスになる

要求分析

情報システムに実装すべき機能を検討するとき、利用者の要求を分析すること。すべての要求を受け入れることではなく、コスト面、技術面、運用面から、どこまで反映するかを検討することが重要

要求分析の手順

要求定義

要件分析の結果に基づいて、システムや業務全体の枠組みや、システム化の範囲、システムを構成するハードウェア、ソフトウェアに要求される機能や性能などを決定すること

目的

利用者のニーズに合致したシステムの設計、開発を進めるとともに、経営戦略や事業戦略の実現に貢献する高品質なシステムを開発すること

要件の定義

業務上必要な要件を定義する「業務要件定義」と、業務要件を実現するために必要なシステムの機能要件を定義する「機能要件定義」、パフォーマンスや信頼性、移行要件などの機能以外の要件を定義する「非機能要件定義」がある
ここでの機能とは、業務を遂行するためにシステムが持つべき機能のこと

業務要件定義

システム化の対象となる業務について、業務を遂行する上で必要な要件を定義。現行の業務を可視化するプロセス。システムで実現すべき機能の重要な判断材料となる

DOA(Data Oriented Approach)

データ中心アプローチと呼ばれ、業務で扱うデータの構造や流れに着目し、システム設計を行う手法。企業で扱うデータの統一的なデータベースを作り、一元化することで個々のシステム設計をシンプルにするというアプローチ
全体的なシステム化を計画するにあたり、全体的なプロセスの流である「ソフトウェアライフサイクル」を考慮することが重要

機能要件

要件のうち、業務遂行に必要なシステム機能要件

非機能要件

使いやすさやサービスに関する要件

調達計画・実施

調達と調達計画

システム化の推進を行うために、要求事項に合う製品やサービスを調達する必要がある。要件定義の内容を踏まえ、規制の製品やサービスを購入するか、外部にシステム開発を委託するかといった調達方法を決定し、調達の際の条件などを定義し、「調達計画」を策定する

調達の実施

調達の流れ
情報提供依頼書(RFI)の作成

「情報提供依頼書」は発注先となる企業に対して、システム化に関する情報提供を依頼する文書のこと。システム化に必要なハードウェアやソフトウェアなどの技術情報や同業他社の構築事例、運用・保守に関する情報を広く収集することが可能

提案依頼書(RFP)の作成・配付

「提案依頼書」はベンタ企業に対して、導入システムの概要や提案依頼事項、調達条件などを明示し、提案書の提出を依頼するための文書のこと。提案依頼書にはシステム概要や目的、必要となる機能や求められるシステム要件、契約事項といったシステムの基本方針を盛り込む。発注予定となる企業への提案依頼という役割のほかに、事前にシステムの要件を明らかにすることで、実際の開発段階に入ってからの混乱を未然に防ぐ役割も担っている

提案書・見積書の入手
提案書:ベンダ企業において、RFPを基にシステム構成、開発手法などを検討、
 提案書を作成、依頼基に対して提案。依頼元の企業は提出された提案書を評価し、発注先の企業の選定資料にする
見積書:システムの開発、運用、保守などにかかる費用を示す文書。取引先の
 選定や発注内容の確認に重要な役割を持っており、発注元の企業はこれを選定基準と照らし合わせて最終決定を行う
発注先企業の選定
名称説明
企画競争複数のシステムベンダなどの企業に対して企画書の提出やプレゼンテーションの実施を求め、提案内容を競争させて調達先を選定する方法
一般競争入札入札情報を広告し、一定の参加資格を満たしたすべての参加者に対して、見積書に提出を求め、価格を競争させて調達先を選定する方法
調達リスク分析

調達に伴うリスクのことを調達リスクといい、品質やコストに関するリスク、法律上のリスク、情報漏えいなどのリスクがある
リスクの分析・評価は、「内部統制」、「コンプライアンス」、「CSR調達」、「グリーン調達」などの観点から行い、明確にしておく

名称説明
CSR調達調達先を決定するとき、候補となる企業の社会的責任(CSR)の取り組みを重視する
グリーン調達環境に配慮した材料や部品などを優先的に購入、環境経営を積極的に行っている企業から優先的に調達する
契約締結

事前に契約内容を明らかにしておくことで、口約束やあいまいな発注による開発現場の混乱や紛争の発生、納期の遅れ、システム障害などのトラブルを未然に防ぐことが出来る

作業範囲記述書(SOW)

プロジェクトの目標、作業範囲、納入時期などを記載した文書のこと。一般的に、委託・受託関係において契約書の付属文書として作られることが多い。作業途中で要求事項に合っているかを確認したり、作業後に契約内容にあった性能かどうかを判断したりする基準となる。関係者の合意形成を円滑に進めるためにも重要な書類となる

請負契約

仕事の完成」を目的とした契約のこと
請負契約の最大の特徴は「仕事の完成」という「結果」に対する責任を負うという点

委任契約

一定の行為」の遂行を目的とした契約のこと
委任契約の最大の特徴は、「法律行為」や「法律行為でない事務」のような、一定の行為について責任を負うという点

 

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