技術要素(2)
マルチメディア
マルチメディア技術
「マルチメディア」とは、文字情報をはじめとして、音声、画像、動画といった多様な種類の情報を統合して扱うことコンピュータシステムやインタネット上のWebコンテンツなどでも、従来の文字情報だけを扱っていた世界から、画像や動画などを駆使したものに変わりつつある
Webコンテンツ
WWWブラウザ上の静止画像・動画像・音声・文字などの情報やデータの総称
ハイパーメディア
文字を対象としたハイパーテキストを拡張した概念。文字、画像、音声などのオブジェクトの間に関連付けをして、多様なアクセスを可能にした形態
ストリーミング
音声や動画像などのWebコンテンツを効率的に配信・再生する技術。データをダウンロードしながら再生するため、ユーザはロードの終了を待つ必要がない。インターネットから映画を見たり、音楽を聴いたりすることが容易になる
マルチメディアのファイル形式
静止画像
ファイル形式 | 拡張子 | 特 徴 |
---|---|---|
JPEG形式 | .jpg .jpeg | ・1677万色の24ビットフルカラー静止画像の圧縮形式 ・非可逆圧縮方式(元のデータを復元できない、画質が落ちる) ・色調や階調表現の多いカラー写真画像などの圧縮に適している |
GIF形式 | .gif | ・256色までの8ビットカラー静止画像の圧縮形式 ・可逆圧縮方式(元のデータを復元できる) ・圧縮方式はランレングス圧縮 ・イラストやアイコンの保存に適している |
BMP形式 | .bmp | ・画像をドットの集まりで表す ・基本的には圧縮されていない(非圧縮方式) |
TIFF形式 | .tif .tiff | ・異なる形式の画像データを保存可能 ・圧縮を行うかどうかの指定も可能 ・可逆圧縮方式(元のデータを復元できる) |
PNG形式 | .png | 48ビットカラーを扱うことが可能 ・可逆圧縮方式(元のデータを復元できる) |
PDF
電子文書のためのフォーマット。レイアウトソフトなどで作成した文書を電子的に配布することができ、相手のコンピュータの機種や環境によらず、オリジナルのイメージをかなりの程度正確に再生することができる
圧縮率
データ圧縮の比率のこと。圧縮率が高いほどファイルサイズを小さくできる
可逆圧縮方式
データの欠落がまったく起こらない圧縮方式のこと。圧縮された符号を復号すると、圧縮前のデータを完全に復元できる
非可逆圧縮方式
多少のデータの欠落を許容する代わりに、劇的に圧縮効率を高めた圧縮方式。圧縮されたデータを復号しても、圧縮前のデータを完全に復元することはできない
動画像
ファイル形式 | 拡張子 | 特 徴 | |
---|---|---|---|
MPEG形式 | .mpg | 動画像を圧縮して保存するファイル形式。カラー動画像、音声の国際基準のデータ形式。MPEGには以下の3つの形式がある | |
MPEG-1 | ・データ転送速度が1.5Mbps程度 ・画質はVHSのビデオ並み ・Video CDなどで利用されている | ||
MPEG-2 | データ転送速度が4〜15Mbps程度 ・画質はS-VHSのビデオ並み ・DVD-VideoやATSCなどの次世代デジタルテレビなどで利用されている | ||
MPEG-4 | ・データ転送速度が64kbps程度 ・携帯電話や電話回線などの通信速度の低い回線を通じた、低画質、高 圧縮率の映像の配信を目的とした規格 | ||
SWF形式 | .swf | ・Adobe Flashで作成されたファイル形式 ・Webブラウザなどに組み込まれたFlash Playerで再生する ・テキストや画像、音声、動画、アニメーション、それらを制御するプログラムなどを格納 することができる | |
AVI形式 | .avi | ・Windowsで音声付きの動画を扱うための形式 ・再生には適切なコーデックを用意する必要がある | |
Quick Time形式 | .mov | ・Apple社の開発した、パソコンで動画や音声を扱うための形式 ・現在ではWindows環境でも広く使用されている |
キャプチャカード
ビデオやテレビの動画と音声を取り込み、パソコンで扱えるファイルとして録画、保存する拡張カードのこと
音声
ファイル形式 | 拡張子 | 特 徴 |
---|---|---|
MP3形式 | .mp3 | ・映像データ圧縮方式のMPEG-1で利用される音声圧縮方式 ・音楽CD並の音質を保ったままデータ量を約1/11(128kbps)に圧縮することが可能 ・携帯音楽プレーやインターネットでの音楽配信に利用されている |
WAV形式 | .wav | ・Windows標準の音声ファイルの形式 ・圧縮されないのでデータ容量が大きい |
WMA形式 | .wma | ・Windowsの標準の音声圧縮方式 ・音楽CD並みの音質を保ったまま約1/22(64kbps)まで圧縮することが可能 |
MIDI形式 | .midi | ・音色、音程などの楽譜データを保存、送受信する ・シンセサイザや音源とパソコンを接続して楽曲データをやりとりする ・通信カラオケ等で利用 |
ATRAC3形式 | .at3 | ・ソニーが開発した音声圧縮技術 ・同社のATRAC技術を改良したもの ・音質を損なうことなく効果的な圧縮を可能としている |
AAC形式 | .3gp | 動画データの圧縮方式のMPEG-2およびMPEG-4で利用される音声データの圧縮方式 |
SAMI
デジタル音楽の著作権保護を目的に設立された団体によって規格化された、携帯音楽プレーヤーで使用されるファイル形式。インターネットで配信される音楽ファイルの形式に採用されている。
情報の圧縮と伸張
JPEG、MPEGなどのファイル形式は、元のデータを圧縮して取り扱う。圧縮されたデータは、元のデータに戻す(伸張・解凍)操作を経て、コウンピュータ上で再現する。データの圧縮・伸張は、通常はソフトウェアによって行われるが、MPEG-2などのように、ハードウェア的に伸張を行う場合もある。
データを圧縮することで、そのファイルを保存するために必要となる記憶容量を小さくすることが可能。元のデータをどれだけ圧縮するかは「圧縮率」という指標ではかられる。ファイル圧縮方式の規格や、設定などによって、圧縮率は異なる。圧縮率が高ければ高いほど、小サイズ化が可能
ファイル形式 | 拡張子 | 特 徴 |
---|---|---|
LZH形式 | .lzh | ・「LHA」などの圧縮ソフトウェアで圧縮したファイル形式 ・可逆圧縮方式 |
ZIP形式 | .zip | ・「WinZip」などの圧縮ソフトウェアで圧縮したファイル形式 ・可逆圧縮方式 |
アーカイブ
複数のファイルを一つにまとめる処理のこと。ようりょうの大きいファイルを圧縮して空き容量を増やしたり、複数のファイルをまとめて配布したりするときに使用
マルチメディア応用
グラフィック処理
読み込んだ画像を表示、加工、保存すること
色の表現
光の三原色(RGB)
ディスプレイでカラー表示をする場合、ひとつのドットはR(Red)、G(Green)、B(Blue)の3つの光る点で構成されている。すべての色はRGBのそれぞれの光の強弱で表現する。RGBをすべて光らせると白色、すべて光らせないと黒色になる
色の三原色(CMYK)
プリンタでカラー印刷する場合は、C(Cyan シアン:水色)、M(Magenta マゼンタ;赤紫)、Y(Yellow)を混ぜ合わせて色が作り出される。CMYを混ぜると黒色になるが、鮮明な色にするためにK(black)を加えたCMYKインクが利用される
色の三要素
色には「色相」「明度」「彩度」と呼ばれる3つの要素がある。これらの3つの要素を調節することで、色の統一感を出したり、アクセントとして目立つ色を用いたりする等、さまざまな工夫ができる
要素 | 説 明 |
---|---|
色相 | 色の持つ色合いのこと。色相は色を環状に配置した「色相環」で表す |
明度 | 色の明るさのこと。明度が高いほど白に近くなり、低いほど黒に近くなる |
彩度 | 色の鮮やかさのこと。彩度が高いほど原色に近い派手な色味になり、低いほど落ち着いた地味な色味になる |
画像の品質
画像の品質は、画素や解像度、諧調によって決まる
画素(ピクセル)
画像を構成する点のこと。画像の最小単位を表すもの。画素数が多いほど情報量は大きくなる
解像度
画素の密度を表す値のこと。画像のきめ細やかさや滑らかさを表す尺度となる。解像度が高いほどより自然できれいな画像になり、低いと画像にギザギザが表示されたりする
諧調(コントラスト)
色の濃淡の変化。つまりグラデーションのことで、画像表現の細やかさを表す尺度となる。諧調が少ないほど色がはっきりした画像になる
グラフィックソフトウェア
画像を扱うグラフィックソフトウェアには「ペイント系」と「ドロー系」がある
ペイント系 | ドロー系 | |
---|---|---|
画像の分類 | ラスター | ベクター |
特徴 | 紙やキャンパスに描くようにパソコンで描けるが、実際にはドットの集まりとして保存されている。ソフトウェアによって多少違いはあるが、感覚的に操作できる | 直線や曲線を操作したり、円や四角などの図形を組み合わせたりして絵を描ける。拡大しても滑らかに表示される |
代表的な ソフトウェア | ペイント、Adobe Photoshop | Adobe Illustrator |
ラスター
小さな色のドットを集めて作った画像のこと
ベクター
鉛筆で描いたような画像のことで「アンカー」と呼ばれる座標の点を複数作り、そのアンカー同士を線で繋いだり、戦で囲まれた部分を塗りつぶしたりして表示される画像のこと
マルチメディア技術の応用
コンピュータグラフィックス(CG)
コンピュータを用いて静止画像や動画像を処理・作成する技術、または作成された画像や動画のこと。2次元と3次元の表現があり、2次元はタブレットを使ったペインティングや写真を取り込んだイメージ処理などに利用されている。3次元は映画や仮想世界の表現、シミュレーション、CADを利用した工業デザインなどに応用されている
バーチャルリアリティ(VR)
現実にはその場に存在していない世界を、あたかもその場に存在するかのように知覚させる要因を生み出す技術の総称。具体的な例としては、本物さながらの操作環境と、操作に連動した高度な3DCGを駆使したフライトシミュレータなどがある
オーサリング
文字や静止画像、動画像、音声などを総合して、ひとつのコンテンツを作成すること。オーサリングを行うソフトウェアのことを「マルチメディアオーサリングツール」という。好きな音楽を集めて自分専用の音楽CDを作成したり、静止画像や音声などを組み合わせてオリジナルの動画像を作成したりできる。ホームページが簡単に作成できるWeb系オーサリングツールなどもある
コンピュータシミュレーション
コンピュータを使って何らかの現象をシミュレート(疑似実験)すること。さまざまな疑似的状況を作り出すことで、実際の理論や実験では得られない成果を生み出すことができる。ビル火災の被害状況や温暖化の影響による気候予測などに応用されている。コンピュータシミュレーションを行うハードウェアやソフトウェアを「シミュレータ」という
CAD
CAD(Cpm@uter Aided Design)は、短時間に精度の高い画面を作成する技術や手法のこと。データの再利用や省力化を実現するものとして、建築関係の業界などで高度に発展している。立体の情報を扱う「3次元CAD」では、高さの要素が加わり、外観全体、あるいは内観まで含めてCGでデザインを行うこともできる
インターレース表示
画像の表示操作を2回に分けて、2回目の表示で初めて1枚の完成した画像を表示する方式。動画像を表示する際にちらつきを抑えられるため、テレビにおいて採用されている
ノンインターレース表示
はじめから1枚の完成した画像を表示する方式。コンピュータディスプレイのように静止画像や文字を表示することが多いものは、インターレース方式ではちらつきやにじみが出るので、ほとんどノンインターレース方式を採用している
コラージュ
別々に撮影した風景と人物の映像をコンピュータを利用して合成し、実際とは異なる映像を作ること
 

