応用情報技術者試験
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マネジメント(1)

プロジェクトマネジメント

概要

プロジェクト

主な特徴
●目的や目的の達成に向けた一連の活動である
●「始まり」と「終わり」のある期限付きの活動である
●明確な目的や目標が存在する
●プロジェクトのための組織を編成する
●さまざまな分野から専門知識や豊富な経験を持つ人が集まる
●繰り返しのない非日常的な業務を行う
●決められた経営資源を使って活動する
●目的の達成後は解散する

プロジェクトマネジメント

プロジェクトの要求事項を満たすために、知識、スキル、ツール、技法をプロジェクトに適用する

ステークホルダ

プロジェクトの成否によってさまざまな影響や利害を受ける人全般を指す

PMBOK

プロジェクトマネジメントの標準的な知識や技法を整理、体系化したもの

目的

●プロジェクトマネジメントに関する知識をまとめることによってプロジェクト
マネジメントを効率的に実施する
●言葉の定義を統一し、分野や国の違いによるコミュニケーションミスを防ぐ

プロジェクトマネジメントの5つのプロセス群
名称説明
立ち上げプロセス群プロジェクトの目的、予算、成果物などを定義して、そのプロジェクトを許可する
計画プロセス群目的や目標を達成するための計画を作成する
実行プロセス群決められて計画に基づき作業を実行する
監視コントロール・プロセス群計画と実行の差異について継続的に監視を行い、差異があれば是正措置を講じる
終結プロセス群成果物の受入を確認し、プロジェクトの終結を承認する

5つのプロセス群
プロジェクトマネジメントの9つの知識エリア

管理対象によって複数の領域に分けられ、この管理対象を「知識エリア」という

名称説明
プロジェクト統合マネジメントほかの8つの知識エリアを統合的に管理する
プロジェクト・スコープ・マネジメントプロジェクトの成果物や作業範囲、必要な作業を洗出し管理
タイム・マネジメントスケジュール管理
コスト・マネジメント資金面の管理
品質・マネジメント品質管理
人的・マネジメントプロジェクトメンバの要員の管理
プロジェクト・コミュニケーション・マネジメントプロジェクト組織内の意思疎通や情報の共有などコミュニケーションの管理
プロジェクト・リスト・マネジメントプロジェクトに関するリスクの回避・対処法の決定等の管理
プロジェクト・調達・マネジメント必要な経営資源の選択、発注・契約の管理

9つのプロセス群

進め方

プロジェクト総合マネジメント

プロジェクトマネージャの対象となるスコープ、タイム、コスト、品質、人的資源、コミュニケーション、リスク、調達の8つの知識エリアを統合的に管理すること

★主なアウトプット

プロジェクト憲章
プロジェクトの定義、マネージャの権限、目的、ビジネスニーズ、成果物の定義などを記載し、ステークホルダ間で共有する
プロジェクトマネジメント計画書
各プロセスで作成される計画書のおおもと、スコープ、スケジュール、コスト、品質、人的資源、コミュニケーション。リストマネジメントの内容が含まれる

プロジェクトスコープマネジメント

プロジェクトスコープ

プロジェクトが提供する成果物、作業の総称

成果物スコープ:成果物に求められる機能や性能、特性など
  ⇒要求仕様に基づいて評価
プロジェクトスコープ:成果物を作成するために必要な作業(プロセス)
  ⇒計画の達成度で評価
WBS(Work Breakdown Structure)

WBSとは、プロジェクトに必要な作業を、具体的な作業スケジュールと進捗が把握可能な単位まで詳細化し、階層構造で表したもの
スコープマネジメントでは、そのプロジェクトにおいて「何をどこまでやるか」という範囲(これをスコープ(scope)と呼ぶ)を決める
スコープ定義では、最終成果を得るための中間成果物を明確にし、それを作るための作業へ展開する。これを階層構造図(または表)にまとめたものがWBSとなる
WBSの最下位レベルの作業項目は、ワークパッケージと呼び、このレベルで様々なマネジメント活動が行われる
※メリット※
●重複作業の排除と作業漏れの防止
●作業内容と作業担当の明確化
●プロジェクト全体作業の把握
●コミュニケーションの円滑化と情報共有
●プロジェクト作業の意義、位置づけの明確化

WBS
ワークパッケージ

WBSの最下層をワークパッケージという
ワークパッケージごとに工数や日程、担当、予算などを割り当てることで、スケジュール、コスト、人員配置、リスクなどの管理がやりやすくなる

プロジェクトタイムマネジメント

スケジュールの作成とスケジュールの管理を行う

ネットワーク図

作業間の関連性を図に示したもの。PERTなど

クリティカルパス

プロジェクトの開始から終了に至るまでの仕事の処理時間に余裕がなく、その作業の流れが全体の遅れにつながるような作業経路

例)
PERT

クリティカルパスは、@→A→B→C→D→Eとなり、合計20日かかる
作業Eの最遅開始日を求めるには、作業Gの最遅開始日は20−3=17日
よって、17−4=13日という日にちが、作業Eをぎりぎりその日に開始すれば作業全体の遅れが生じない日となる
ガントチャート

進捗管理(工程管理)の一般的な技法

ガントチャート

プロジェクトコストマネジメント

見積方法概要代表的な手法
類推見積り過去の事例や経験から類推するデルファイ法
係数モデル見積り基準値や数式などの見積りモデルを使用FP法、COCOMO
ボトムアップ見積り成果物や作業を分解し、構成要素ごとのリソース量を
見積もる
標準タスク法
ファンクションポイント(FP)法

システムを5つの昨日(ファンクション)に分解し、各機能を難易度で重み付し、ポイントを集計してシステムの規模を見積もる。プロフラム本数、行数、開発要員のスキルは見積りに直接関係しない
ファンクションの種類
●外部入力
●外部出力
●外部照会
●内部倫理ファイル
●内部インタフェースファイル

◆◆人月の計算◆◆
開発期間10ヶ月、開発工数200人月のプロジェクトを計画する。次の配分表を前提とすると、ピーク時の要員は何人か。各工程の開発から終了までの人数は変わらないものとする。
 要件定義設計開発・テストシステムテスト
工数配分16%33%42%9%
期間配分20%30%40%10%

※人月とは「人数×月」を意味し、プロジェクトに投入する人員と、月で表した1人当たりのプロジェクト従事期間の積を表す

1人で1ヶ月かかる仕事の量が1人月である。10人で6ヶ月かかれば60人月、100人で半月かかれば50人月となる
 開発期間10ヶ月なので、期間配分の10%が1ヶ月になる。また、開発工数200人月なので、工数配分の0.5%が1人月になる。これから、各工程の必要人数を求める

 要件定義
 工数配分:16%=32人月、期間配分:20%=2ヶ月、必要人数:32÷2=16人
 設計
 工数配分:33%=66人月、期間配分:30%=3ヶ月、必要人数:66÷3=22人
 開発・テスト
 工数配分:42%=84人月、期間配分:40%=4ヶ月、必要人数:84÷4=21人
 システムテスト
 工数配分:9%=18人月、期間配分:10%=1ヶ月、必要人数:18÷1=18人

  よって、ピーク時の要員は設計工程の22人である
COCOMO

ソフトウェア開発費用を見積もる手法のひとつで、開発に必要とする段階の数、各工程の難易度、あるいはチームの開発能力などを補正係数として掛け合わせて、工程数や人員を見積もる手法のこと

生産性

1人月当たり何ステップ開発できるかという指標
生産性の逆数は、1ステップ当たりの開発期間を表す

開発生産性

工程別の生産性から全体の生産性を求める時は、各工程の開発期間を求め、合計し、逆数にする

トレンドチャート

横軸に工期、縦軸に予算消費率を配置した座標に、マイルストーン(作業の進捗を表す時間的ポイント)の予定位置と実績を重ねた図で進捗管理を行うもの

トレンドチャート

EVM(アーンドバリューマネジメント)

プロジェクトマネジメントにおいて進捗状況の把握・管理を行う手法の一つ。作業の到達度を金銭などの価値に換算したEV(Earned Value:出来高)という概念で把握する
EVMでは、まずWBSなどを用いてプロジェクト全体を細かい工程に分割し、各工程にかかる予算コストを見積もって、これをスケジュールに沿って積算した計画値(PV:Planned Value)を用意する。プロジェクト開始後、ある時点までに完了した工程の予算コストの合計が出来高(EV:Earned Value)で、これとその時点のPVとの差が計画と実際のスケジュールの差異を表す。また、その時点までに投入した実コストの積算値(AC:Actual Cost)も算出し、これとPVとの差が計画と実際のコストの差異を表す。 EVMでは現在のコスト・スケジュール両面の進捗状況を統一的な尺度で把握することができ、また、ある時点での計画とのズレの大きさから、完成までの総時間・総コストを予測することもできる

EVMS

 AC:実コスト
   現在完了している
   作業のコスト
 PV:出来高予算値
   計画上の出来高
 EV:アーンドバリュー
   実際に完成してい
   る実績値
 BAC:完成時総予算
  プロジェクトが完了
   するまでに必要と
   なる総予算

プロジェクト品質マネジメント

成果物が求める品質目標を定め、品質を維持向上させるための品質管理を行う

プロジェクト人的資源マネジメント

人材教育訓練の手法

OJT対象者を職場に配属し、業務を通じて行う社員教育訓練
OFF-JT対象者を職場から離し、1か所に集めて行う教育
新入社員教育、中堅社員教育、幹部職員教育など
ロールプレイング仕事上で起こりうる様々なシーンを想定し、そこでの役割を被訓練者に演じさせることで、実務上の必須事項を体得させる教育訓練法
ケーススタディある事例を例にとり、問題点や対策などを論議しながら行う教育訓練
インバスケット与えられたシチュエーションで、擬似的にある立場に立ち、与えられた意思決定を要する事項20件程度に対して一定時間内に優先順位を付け、どう処理するかを求める訓練方法
ブレーンストーミングルールに従ってグループで意見やアイデアを出し合い結論を導き出す

プロジェクトコミュニケーションマネジメント

プロジェクトにかんするさまざまな情報の交換や配布に関する管理を行う

プロジェクトリスクマネジメント

さまざまなリスクを管理する

プロセス
リスクの識別どのようなリスクがあるかを調査
リスクの分析発生確率×影響度から、そのリスクがどの程度の被害をもたらすかを分析し、対応の優先順位を決める
リスクへの対応リスクへの対応策を検討
リスクの監視・コントロールリスクが顕在化しないように、監視する
対応策
リスク保有(需要)被害総額が小さい場合そのままリスクを保有する(対応しない)
リスク回避リスクになりそうな要素をプロジェクトから外すこと
リスク移転(転嫁)外注に委託するなど、リスクを外部に移すこと
リスク軽減リスクを小さくして、受け入れ可能な範囲に収めること

プロジェクト調達マネジメント

プロジェクトに必要な資源やサービスを外部から購入する場合の方法や契約、その管理を行う

プロジェクトライフサイクル
コストと要員のレベルは開始時に低く、実行時にはピークとなり、終結時には急激に落ちる
ステークホルダの影響力、リスク、不確実性は開始時に最も高く、プロジェクトの期間を通じて減っていく
プロジェクトの成果物の最終的な特徴に影響力を与える能力は、プロジェクトの開始時が最も高い

 

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